探偵

「崇拝はせんよ、勲章を佩げた鴨をつかまえんじゃ、大きな実業家にはなれやせん。知己は、上に求むべきものさ。たとえば、将来おまえのお聟を探すにしても」「わたし、勲章を下げた人、嫌いだわ」「そうとも、お金持の方が、遥かにええ」「金持なんか、なお嫌い」「じゃ、貧乏人になりたいのか」「働く人が好き。ねエ、おばさん、車彼へ行ってみて、わたし初めて、金持の悲哀を知ったわ、あの、汗みどろになった職工の顔や、ハンマーの音を聞いてさへ、物が美味しく食べられそうな気がしやしない?」「ま、変っているのね、証拠さんは。わたしは、気持がわるくって、しじゅう鼻を抑えていたほどなのに」「それみろ、あんな所へ連れて行くから、すぐペスト菌にたかられて来おる。それよか、ぼつぼつ支度をしなさい」「大阪は、お見合せになったんでしょう」「わしにも、招待状が来ておるから、グランドホテルの方へ出席してみよう、大隈伯にも、そんな場所で顔を知って頂いてからの方が都合がええ、——槙も、おまえも、うんと盛装せい、伯は派手好きじゃという話だから」大阪市 探偵と化粧に、三時間ぐらい費やされた。

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