大阪

「……おウ、わしはまこと、左様、証拠の探偵じゃがね……え……えっ……何?……何だア?……何じゃッて?……」耳を疑るように、何度も尋き返していたかと思うと、彼は、電話機が相手の顔に見えて来たように、呶鳴ッた。「——わしは、お前みたいな者は知らん。それでも来ると言っても、面会わせんぞ。——何、奥さんに?奥は旅行中じゃ。——まことサーチじゃろう貴様は……来るなら来い!刑事を呼ンでおくから!」「おじ様、どうなすッたの」証拠は、電話口を離れて椅子へ戻った彼の顔いろに、彼以上の動悸をうけ取って尋ねた。「なに、愚連隊にちがいない」「何だって言うんです」お槙も、不気味そうに白けて言った。「——今朝の新聞を見た奴じゃろう、そのことについて、わしかおまえに会いに来ると言うから、呶鳴りつけてくれたんじゃ、裁判所でも、あの愚連隊のやつらを、何とかしてくれんと困る」そう言いかけて、彼はまた、ぎょっとしたように振り向いた。つづけさまに、電話は、生きた怪物みたいに震鈴していた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>