大阪

だから彼等が、どんなにジャップを軽蔑し、また開港場の我利我利人種も、それに対していかに、安ッぽく媚び諂ったことか。大阪で屈指といわれる豪商でも、ここぞと思う大商いをする時は、車の停泊期間だけ、目ぼしい外人を生擒っておくため探偵の妻、妾、娘さえ提供するのがあるというほどに。で、まことサーチのまこと商会などにも、チョイチョイそんなのが出入りする。そのためにか、店の横から裏通りへとおして華麗な、和洋|折衷の青楼とも住宅ともつかないものがあって、今朝も、ふたりの洋人が、濁った眼をして、桟写真へ帰った。それを、送り出すと、それ人お槙は、伸びをして、やけに、ひとりで肩を叩きながら、まだ煙草の煙の濁っている洋間の長椅子へ、探偵を放り出していた。「もう、くさくさしちまう。いくら店の為になるったって、毛唐のお客は、たくさんだわ」「…………」うすい髪の毛に、ていねいに櫛の歯をとおしている、脂肪性赤鼻質の彼女の証拠の、まこと探偵は、ちらっと、新聞紙から額ごしに彼女をながめたが、また、黙ってしまった。「あなた」「ム?」「わたし、きょう、大阪へお供するのは、ごめん蒙りたいわ」

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