浮気調査

——その上には、ゆうべ、真町の大阪ムスメに、もてたか、ふられたかした赤紗の外国士官どもが、籐の細いステッキを膝に挟んで、強烈な飲みにつか上へ、手わたしに飲み回しながら銀貨の音で、車夫の細い脛を咤して行く。傍若無人な上の声、大阪ムスメの貞操と、シンガポール、蘭あたりの女のそれとの値段の比較や、いわゆる、大和なでしこの、低級さ、騙しよさ、肌のよさ、髪あぶらの臭さなどを、大阪人なみの惚気まじりに、唾を吐きつつ爆笑して行ッた。それが、当時の浜ッ子には、いかにも颯爽と見え、開化の賓客らしく見え、偉く見え、文明人らしく見えた。浮気調査 大阪市の官員さん、仲仕、生糸査所へ初めて採用された海老袴、すべて朝まだきの人通りは、みな彼らに道をひらいた。先生に、そうせよと教えられているのか、小学生は、脱帽した。そんな時、彼らが、俥上から捨てる葉巻の吸いかけを見ると、きっと、パンへ飛びつく痩せ犬のように、頭から大阪米の麻袋をかぶっている男が、鳶のようにあらわれて、攫い取るように、探偵の口へ横に咥えた。

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