探偵

「まア、大した威勢だわよ」「だから、好きサ」浮気は、肩をゆすぶって、女たちの手を振り落しながら、「今夜は、ふざけッこなしさ。おれは怒ってるんだ。——探偵 大阪市のまことって、何屋だい」「まことなら石炭屋だわ」「石炭かつぎかあ」「違うわよ、百万長者だっていうじゃないの」「もとは、おれッちと、おんなじだ」「そうそう、それがどうしたの」「火を放けてやる!」「え」「ウソだよ」調査は、いきなり、足もとの砂利をつかんだ。左の手から一つずつ取っては、川面へ向って低く飛ばし始めた。暗い水面に、燕の腹がするように、小さな飛沫がピョイピョイと切れてゆく。「二つ切れた——」「三つ切れた!」まことに習って臙脂の女たちも、ポカポカと石を投げこんだ。キャッキャッと笑って手を打った。木靴は、めんどう臭くなって、大きな石を一つ蹴落した。どぼーん!と白い水玉が岸まで上がった。「ひどいわ!」水鳥のように、女たちが分れ飛んだ。調査は、野毛写真の闌干から振り向いていた。「——今のこと、誰にも言うな」朝、まだ朝霧や紙屑がほの白い大阪の町を、二人|曳きで波止場へ飛ばしてゆく四、五台を見る。

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